
何やら飼育水槽の上に、ハシゴとゴザが置いてあります。チープな見た目ですが、これはれっきとした治療なのです。
ホールで飼育している13歳のタイマイは、これまでも数回拒食症を起こしてきました。今回も10日前からあまり餌を口にしなくなり、4日前から更に食が細りました。人間で拒食症というとストレスが原因の場合が多いそうですが、カメの場合も例外ではありません。
この”ストレス”という言葉がまた厄介で、独り歩きして本来の意味を失っている言葉ですので、今回は誤解を避けるために環境不適応症候群、略して適応症という言葉で説明します。
さて爬虫類にとっての適応症の条件は、人間に比べたら随分とシンプルですがそれでも複雑で、なおかつ複合的な場合が多いです。ホールのタイマイは長年の観察で、人間の接近機会の許容オーバーと、夜間の人工灯が大きな不適応状態の条件になっていることが分かっています。今回もそれがメインの理由ではないかと疑い、冒頭の様な仕掛けの設置を試みたのです。
水温については、確かにウミガメは暖かい場所をこのみますし、このタイマイも冬場に適応症になる場合が多いので、以前は疑っていたこともありましたが、水槽内でも水温が比較的低い所によくいるので、あまり関係ない気がします。冬場に多いのは、日没がスタッフの帰宅時間より早くなることで、人工灯にさらされる機会が多くなるため、と今のところ思っています。
かく言う自分も、帰宅時は自分のサンダルを探すために、少しの間だけホールの電気をつけますので、拒食症に一役買っていたのでしょう。

ゴザの他にも、葉っぱで暴露面積を減らしています。

設置したのが昨日の午後で、今朝見たら、もうゴザの下が気に入ったらしく、引きこもっています。そして10日ぶりに朝ご飯をぺロリと完食!頭が水槽の角の方を向いていない(つまり安心できている)し、これでまずは一安心です。
追記
夕御飯も完食でした。しかしまだ神経過敏なので、餌を撒いた後は遠くから観察しないといけません。