タイマイ保全活動地の一つ、プスムット島の近況報告をします。プスムット島は、ジャワ海の西側にあるブリトゥン島の北東に浮かぶ小さな島です。
ここはタイマイとアオウミガメの産卵地です。1998年からウミガメ卵を盗掘から守る活動をしています。タイマイ保全のために始めた活動ですが、近隣の中ではアオウミガメの産卵も多く、この島での保全活動はアオウミガメにとっても大事な活動と言えます。
6-7月にパートナー団体YPLI(インドネシアウミガメ研究センター)スタッフが現地訪問してきました。
この島でのアオウミガメの産卵ピークは、夏場です。アオウミガメは大きく、タイマイより深い穴を掘るため、タイマイのふ化状況を調査するためにはアオウミガメの産卵が増える前に調査をする必要があります。そのため、毎年この時季の調査が多いです。
過去にはネズミによる卵捕食が多かったプスムット島ですが、活動の努力によりネズミ被害は現在はほぼ見られなくなりました。 そしてふ化する赤ちゃんガメの数はかつてより多くなりました。
ふ化しなかった原因としては例年と同じく、・高波による流出・ウミガメによる卵の掘り出され(ふ化前とふ化後の場合がある)が多かったです。
人による卵の盗掘も散見されました。現地でのウミガメ産卵巣は基本的に保護されていますが、一部は盗掘により未だ卵が盗られている状況です。地域住民の情報によると、灯台の管理業務のために雇われている地域住民(島に常駐している)が、組織だって卵の盗掘を実施していることが明らかになってきました。こちらは重要課題として、これからYPLIと協力して取り組んでいきます。
【産卵したのに放卵】
産卵後に放卵しながら帰海したアオウミガメの足跡を追った動画。産卵後にはきちんと埋卵しており、人間による産卵阻害はしておりません。非常に珍しい現象ですが、他地域でも散見されている事象です。
【海はまっすぐ進んだ方が近いのに】
サンゴ礁で囲まれた海岸で干潮時に帰海したウミガメは、海にまっすぐ戻れないことがあるようです。この動画では、海に帰るため海岸線まで到達したアオウミガメがまっすぐ行かずに横に移動しています。
産卵後帰海するタイマイ母ガメ。生態解明のため、現地では標識装着や計測などをおこなっています。この個体は調査済みの個体です。
ふ化して海に帰るアオウミガメの赤ちゃんたち。盗掘があるプスムット島ですが、保護の成果により沢山の赤ちゃんも海に返せています。近年はタイマイの産卵増加が止まり、アオウミガメがやっと微増してきた様子。引き続きこの島での個体数回復を目指していきます。
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