セガマ・ブサール島における活動近況-現地調査(2025年9月)

【活動報告】気候の変化に向き合いながら――セガマ島でのふ化後調査(2025年9月)
2025年9月、インドネシア・セガマ・ブサール島にて、現地パートナー団体の調査員が、タイマイ(ウミガメ)のふ化後調査を実施しました。
現地から出張報告が届いたので、内容をかいつまんでお伝えします。
今回の出張では、約3週間にわたり島に滞在し、約3,150巣という非常に多くの巣を調査しました。
■ 長期間にわたる調査スケジュール
調査は9月6日から22日まで実施され、天候の状況を見ながら、ほぼ毎日巣の確認と掘り出し作業を行いました。
途中、強い雨の日もあり、作業ができない日もありましたが、島に常駐している現地監視員と連携しながら地道な調査を続けました。
■ 調査で見えてきた、産卵海岸の変化
今回の調査で特に印象的だったのは、産卵海岸の大きな変化です。
2024年末から2025年初めにかけて、
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強風
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高波
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高潮
といった極端な気象条件が続いた影響で、海岸が削られ、多くの巣が流出していました。
一方で、2025年は産卵数自体が多かったため、
後から上陸したウミガメが、すでにある巣を掘り返してしまうケースも多く確認されました。
自然環境の変化が、ウミガメたちの繁殖行動にも大きく影響していることが改めて実感されました。
■ 現地で直面した課題
調査中、以下のような課題も確認されました。
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トカゲ(オオトカゲ)による食害
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波による巣の流出
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他のカメによって掘り返されてしまった巣
新しい産卵巣だけでなく、すでにふ化した後の巣が荒らされているケースもあり、頻繁な調査訪問の必要性が明確になりました。
■ 調査と同時に行った取り組み
今回の出張では、調査だけでなく、現地監視員への技術共有も行いました。
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ふ化後調査の進め方を一緒に実施
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正しいデータ記録方法の確認
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波で流出した新しい巣についても、必ず番号を付けて記録する重要性を共有
日々の監視体制がより正確なものになるよう、パートナー団体スタッフより指導しました。
■ 今後に向けた改善策
トカゲによる食害への対策として、現地では次の取り組みを計画・検討したようです。
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壊れにくいワイヤーを使った捕獲装置の設置
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森の中に網状の罠を張り、トカゲが侵入しにくい環境をつくる
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捕獲した個体は、セガマ島から離れた場所へ移送
生態系への影響にも配慮しながら、巣を守るための工夫を進めていきます。
■ 数字の裏にある、希望
今回の調査では、被害を受けた巣があった一方で、
ふ化状況が良好な巣も多く確認されました。
厳しい自然条件の中でも、命が確かにつながっていることを、現地で何度も実感しました。
調査期間中には、写真や動画による記録も行っており、セガマ・ブサール島の「今」をしっかりと残すことができています。
引き続き、皆さまからの温かいご支援が、現場での確かな行動につながっています。
これからもセガマ・ブサール島での取り組みを見守っていただけましたら幸いです。













