Lifetime Achievement Award(特別功労賞)を受賞して  菅沼弘行

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今回、神戸で開催されたInternational Sea Turtle Symposium(国際ウミガメシンポジウム)で、Lifetime Achievement Award(特別功労賞)をいただきました。この賞は、2009年に設立されたウミガメ界の大御所にちなんで設立されたもので、当初Archie Carr Awardだったそうです。これまでに20名弱の方々が受賞されています。私がこの賞をいたたくときに名前を呼ばれた瞬間、思わず出た言葉は「なんで、私なんだ。」という疑問でした。これまでに受賞された方は、名の通ったウミガメ研究者ばかりです。多くの論文を書き、ウミガメ生態を解明された方々です。しかし、時間が経つと共に、これまでELNAでおこなってきた調査や保全活動が、世界に認められ始めたことを実感できるようになりました。ELNAの基本方針は、「ELNAが関わった地域のウミガメは絶滅させない。」です。「海(自然の力)に、ゆだねる。」ことです。ELNAの活動は、ウミガメ繁殖地において、直接的、間接的、人為的要因を取り除くことです。つまり、ウミガメが繁殖する海岸環境を守ることに主眼を置いています。
・人工物のない海岸を維持することにより、産卵海岸を守る。
・パプアでは人が持ち込んだブタが卵を食べるのを防ぐために、電気柵を設置してブタが海岸に侵入しないようにする。
・人の影響も資源を減少させている一つの要因として捉え、その影響を軽減させる。
・インドネシアでは、それまで卵を採集していた人を雇用することにより、彼らの生活の安定と卵の密漁を失くす。
・ウミガメに関わる人々(ウミガメ漁や、ウミガメを混獲する漁業)の目線になって、ウミガメ資源の影響を減少させ、個体群を増加させる方針を推進する。

「私は、40年以上にわたり、ひたすら産卵海岸を歩いてきました。海岸にいるとウミガメに関して多くの発見があります。このことを教えてくれたのは、オーストラリアのDr. Colin Limpus、フロリダ大学のDr. Karen BjorndalとDr. Jeanne Mortimer、温度性決定のスライドをお送りして雌雄判別をしていただいた故Dr. Nicholas Mrosovskyです。また、現場を知り尽くしているハワイのMr. George Balazs, フロリダのDr. Blair WetheringtonとDr. Anne Meylan, 発生のDr. Jeffrey Miller, 遺伝子のDr. Brian Bowenなど多くの方々と話し合い、多くのことを教えていただきました。彼らが、私の行き先を示してくれました。また、突然の訪問にもかかわらず、私を小笠原に受け入れてくれたYoji Kurata氏には、特別の感謝を呈したいと思います。また、日本ウミガメ協議会とうみがめニュースレター編集委員会を共に立ち上げたDr. Naoki Kamezakiにも感謝いたします。最後に、ELNAを共に立ち上げ、共に歩んできた田中真一さんがいなければ、今の私は存在しません。共に夢見てきた証として、この賞を私個人ではなく、彼と分かち合いたいと思います。世界でも例を見ないELNAの方針や活動が今日あるのは、私をこのように育ててくれた多くの方々のおかげです。その結果がこのような賞をいただくことにつながったと思います。ありがとうございます。」

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