セガマ・ブサール島の近況(2021年)

Pocket

コロナで大変な社会状況ではありますが、タイマイ保全活動地での活動はつづいています!
近況をお伝えします!

卵の買取制度を廃止!
2020年4月~、現地常駐スタッフと交渉し、卵の買い上げ制度を終了しました。今までは“1巣○○円”という支払をしていましたが、今後は産卵の数に関わらず月額で一定の額を支払う体制に変更しました。
これは、産卵が増えていっているセガマ・ブサール島で活動資金を節約するために以前からやろうとしていたことです。今回コロナの影響によりスムーズに現地スタッフを説得し、同意を得ることができました。
(月給制にすると、監視やモニタリングをさぼる懸念がありましたが、今のところデータを見る限り大丈夫そうです)

月給制でもOK!

セガマ・ブサール島と灯台施設

無人島にも光害
ウミガメ界で言う光害(こうがい)とは、①地上にいる赤ちゃんウミガメや産卵を終えた母ガメが、光に誘われて海へ帰れない問題の事と、②産卵海岸が明かる過ぎると上陸してこない。もしくは産卵を止めてしまうことを言います。
ここでは①の問題です。ちなみに①になる原因は、ウミガメは明るい方を海と認識してしまうからです。

セガマ・ブサール島は本土から27kmほど離れた離島。灯台のある島です。ここは無人島ですが、灯台を管理するための常駐職員が1~3名ほど常駐しています。そこで働く人たちにウミガメの仕事もしてもらっています。
横幅90mほどの細長い島で、1か所だけ灯台と常駐施設が立ち並んでいます。夜は数名なので小量ではありますが、灯りをともすので、地上に脱出した赤ちゃんガメ達が小屋に押しかけてくることがあります。
先日、現地監視職員が「光に集まってた赤ちゃんを海に帰したよ!アオウミガメの赤ちゃんだよ!珍しいでしょ?!」と報告動画を送ってくれました。
なんだか誇らしげでしたが、それもそのはず。小笠原では沢山みるアオウミガメですが、ここセガマ・ブサール島ではほとんどがタイマイ。アオウミガメは珍しいんです(0.1%くらい)。更にこの島ではアオウミガメのふ化率はあまりよくないので(海岸の奥行きがあまり無いので流されがち)、アオウミガメの赤ちゃんをあまり見たことがないのでしょう。

島内の灯台施設憩いの場(撮影2012年)

光害から赤ちゃんガメを救った動画を見ていると、浜辺に運んだまではいいのですが、最後はドボドボ海中に投入。・・・(ガーン。公開できない)
( ^ω^)・・・ 今後は、直接海水に入れないで、海岸を少し歩かせてから海に帰すようにお願いしました。
聞くと、「カニに襲われるといけないから」とのこと。考えてはくれているようです。

↓こちらが噂の動画(最初だけです。監視スタッフさん、自主的に働いてくれています)

ちなみに、ウミガメが光に誘われてしまうとすると、灯台の明かりも問題では??と疑問に思うかもしれません。
灯台の明かりは、広く全体的に光っているため(月のように)、灯台の下にカメ達が集まって来ることは無く、問題ありません。

★産卵に来るウミガメの数は?
同様の活動をしているプスムット島やキマル島では、近年産卵の数がやや減少するなど不安定になってきております。が、一方このセガマ・ブサール島は安定の増加を続けています!
この島は、本当に素晴らしいです。首都ジャカルタからもそれほど離れていないですが、タイマイにとって最適な産卵環境が残っており、卵や赤ちゃんガメの天敵もおりますが、それでも安定して子孫を生産できているようです。
セガマ島のすばらしさについては、以前も世界的な産卵地と比較した記事を書いてますので、是非そちらもご覧ください → こちら(セガマ島での活動報告2020年~世界のタイマイ産卵数とも比較してみた)

★次回の現地調査は?
2021年に入り、現地のインドネシア人調査スタッフに各活動地を訪問して調査してもらっているのですが、「そろそろ行ってもらおう!」と思った矢先に新型コロナの感染拡大が起こり、やむなく中断しました。
年内に訪問してもらえるよう調整できればと考えております。

関連記事

  1. ジャワ海タイマイ保全の現状と支援のお願い
  2. ウミガメ保護島にトイレ完成!
  3. 2000回の産卵が周囲たった1.4kmの小さい島に集約!重要な産…
  4. 【人材育成】インドネシア・ウミガメシンポジウム
  5. 井ノ口が、昨日、デビューしました
  6. タイマイ活動地は4ヵ所とも違う個体群であることが明らかに!
  7. ウミガメ保全や調査手法の研修をしました
  8. ある優秀な現地監視スタッフのお話し
PAGE TOP