jamursbamedi

ジャムルスバメディ地区オサガメ保全プロジェクト

減少傾向にあるオサガメ産卵巣数

ジャムルスバメディ(Jamursbamedi)地区は、バードヘッド半島の北部(頭頂部)に位置します。海岸長約18kmのこの地区は、東端に人口約60人のワルマンディ(Warmandi)村、西端に人口約150人のソーベバ(Saubeba)村を有するだけで、その区間に人の居住はなく、海岸部や後背地の熱帯雨林は非常に豊かな生物相を呈しています。この地区では、ウミガメの中でも最も減少が危惧されているオサガメが年間約1,000~2,000巣産卵していますが、産卵数の減少に歯止めがかからない状況が続いており、2010年の産卵巣数は、これまでで最も少ない産卵巣数(888巣)となりました。

卵採取を止めた人々 ~慣習法が根付く村~

ジャムルスバメディ地区の人々は、かつてオサガメ卵を食料として利用していましたが、産卵数が減少してきたことを危惧し、1993年に卵採取を自主的にストップしました。マルク州やパプア州では、「サシ」や「サシセン」あるいは「ティアイティキ」と呼ばれる伝統的な天然資源の自主管理(慣習法)があります。これは、特定の動物や特定の場所での狩猟や採集を一定期間禁止するもので、村落や部族、氏族レベルで独立して決められる掟のようなものです。ジャムルスバメディ地区での卵採取の禁止はワルマンディ村とソーベバ村の長老会議で決められたものであり、現在も保護の方向性や具体的な決め事は全て長老会議で決められています。慣習法により卵採取が禁止されたのか定かではありませんが、そこには住民の自然へ対する畏怖や敬意、森や海との霊的関係や信仰といったアニミズム的概念が強く働いたように思えます。

野ブタによる食害の悩み ~その対策~

ジャムルスバメディ地区では、人間によって持ち込まれたブタが野生化して繁殖し、その野ブタによる卵の食害が問題となっていました。食害率は全海岸平均で約60%、多いところでは約80%に達しており、この対策として、農地で使用されるイノシシ除け電柵を設置しました。2001年3月に食害率が最も高い海岸の1,600m区間に電柵を設置し、7月に効果を調べたところ、食害率は全海岸平均で83%から24%、電柵設置部分では83%から8.8%にまで減少しました。また、2002年7月には電柵をさらに800m延長し、9月に食害率を調査したところ、全海岸平均で11%、電柵設置部分では7%にまで減少させることに成功しました。津波の被害を受けたこともありましたが、現在も問題なく作動しており、子ガメの帰海数増加に貢献しています。尚、この電柵設置には、団体賛助会員であるサージミヤワキ株式会社様のご協力を頂きました。

jamrusbamedi