活動地拡大のため2009年から始めたとっても小さい離島。プナンブン島2022年の結果

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皆さまのご支援により、プナンブン島での2022年の活動が終了したので、結果を報告します。


まず最初に、プナンブン島での活動ミッションをお伝えします!

ミッション

  • A. ここのタイマイ個体群を絶滅させない
  • B. 豊かな遺伝子を後世に残す!(=他地域での回復も目指す!)

と言うことで、具体的な中長期目標として下記を掲げて、2022年も活動に邁進してきました!

  • ①プナンブン島の個体数を回復! 
  • ②子孫が生まれてくる環境を後世まで残す!
  • ③最適な保全手法の模索 
  • ④回復メカニズムの証明

活動内容

・この島のウミガメを絶滅に追いやる一番の原因は、今は卵の乱獲です。地元住民を卵の監視員として雇用して、盗掘から守る活動を継続しました。産卵データの取得や、巣に異常があった際の記録も、現地監視員の重要な仕事です。

・2022年の活動期間は、1-5月でした。
この島では通年ウミガメの産卵がありますが、少ない資金で効果的に活動するため、2020年からタイマイの産卵が多い1-5月のみで海岸を守っています。今年は約200の巣の卵を守りました

・島に常駐して働いてくれたのは、ウジャンさんとそのご家族です。
2021年に雇用スタートした地域住民のご家族で、2022年も仕事していただきました。
人数が多いので、2019年にクラウドファンディングで集めた資金で建てた小屋が大活躍しています。ありがとうございました!

↑ ウジャンさんとその家族。協力的で、2年ともよく働いてくれており、海岸の保全状態が非常に良いです。一番左はパートナー団体YPLIの調査員

活動の成果

・タイマイ個体数は徐々に回復してきている
下記は、1-5月のみをピックアップした産卵数です。産卵に来るタイマイの数は増加していることが分かります。
1頭の産卵回数が4回/年とすると、最初の7年間は20頭くらいでしたが、最近は50頭くらいまで増えてきました。まだまだ数は少ないですが、それでも嬉しい兆しです!

海に帰る赤ちゃんガメの数も増やせています。
下のグラフは、実際の数を表しています。特にここ2年間の成績が良いことが分かります。
2020年の成果が悪かったので、担当していた監視員の人と協議して、2021年から別の方を雇用したのが、増やすことができた一番の理由です。常駐の監視員さんによって成果が変わります。
ちなみに円満解雇です

成果はまだ。でも、進行中

まだ成果を出せていないですが、下記も進行中です。少し時間がかかりそうですが、このままいけば順調に成果を出せそうです。

・タイマイの個体群DNA分析
 ジャワ海において、ELNAの活動地以外のタイマイは危機的状況です。多様な遺伝子を後世残すため、各活動地の遺伝的な違いを分析して頂く予定で、共同研究を進めています。出て来た結果を、活動地選定に役立てます!

・回復メカニズムや保全手法の公表
 メカニズムの科学的な証明までは難しそうですが、事実と結果を公表するため、論文作成に取り組んでおります。論文として公表することで初めて世界のウミガメ科学者や活動団体へ共有されます。ELNAの知見を他地域の個体数回復につなげていけるように努力していきます

課題

海岸を将来的に残すこと
 ELNAでは活動資金不足が深刻になっています。この島の産卵個体群を後世に残すためには、現状では管轄の海洋漁業省に協力を得る事であると考えています。今年も訪問し、協力をする意向はあるようですが資金的な援助など具体的な話しに進まないのが現状です

↑@DKPKetapang 2018年訪問時の写真

資金不足 

来年に向けて。展望

1月~活動再開予定
 2023年も引き続き、ウジャン家の皆さまに仕事をして頂けるという話しで交渉が成立しております。

・ウジャンさんをはじめ、ウミガメに関わる現地住民の方にもっとウミガメの事を伝えることにも力を入れていきたいです。”環境保全”の意識がほぼ無い現地の人達に伝えるのは難しく、今まで正直取り組めておりませんでした。
将来的な事を考えたら、卵が多少盗掘されても絶滅させない方法を伝えようと考えます。

夕方、調査で昼間出て来てしまった赤ちゃんを放流するウジャンさん達。2022年も活動お疲れさまでした

活動継続のため、ご寄付のお願い

プナンブン島で引き続き活動をするための資金が必要です。
 この島の活動は、タイマイ保全サポーターの皆さまから集まったご寄付で継続できております。
 2022年度は、毎年の継続寄付の他に77万円集めています。どうか温かいご支援をよろしくお願い致します

 → ご寄付はこちら  (単発のご寄付です) 

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