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絶滅危惧種アオウミガメ保全活動報告2019(伊藤忠商事(株)様ご支援)

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エバーラスティング・ネイチャーでは、小笠原海洋センターで行うアオウミガメの保全事業に対して、伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区北青山2丁目5番1号)様より2017年より継続してご支援を受けております。昨年に続き、2019年7月には社員様およびそのご家族様参加による「アオウミガメ保全ツアー」(2回目)が開催されたほか、今年度は、小笠原海洋センターボランティア参加者の宿泊スペース整備(老朽化トレーラーハウスの代替設備設置)に関しても支援いただきました。小笠原海洋センターの運営はボランティアのマンパワーが必要不可欠となっており、持続可能な運営にはボランティアなどの受入基盤の整備も重要との考えに基づき、ご支援いただいております。年度内の設置を目指し、計画進行中です。
ここでは、支援案件のベースとなっているアオウミガメ産卵巣数モニタリング調査とふ化後調査の結果について、概要をご報告いたします。

生物多様性の中でのアオウミガメの存在意義については、2017年の伊藤忠商事様支援事業をご覧ください。

産卵モニタリング調査およびふ化後調査の結果概要

調査概要

父島列島の約30海岸、母島列島の約10海岸、聟島列島の約10海岸を対象に定期的に海岸踏査し、各産卵状況をモニタリング調査しました。小笠原諸島におけるアオウミガメの2019年の初産卵は、2018年より約1週間ほど遅い4月28日前後に確認されました。最終産卵は、2018年よりも約2週間ほど遅い10月4日前後に確認されました。2017年の最終産卵が8月20日前後でしたので、それと比較すると約1か月半も遅い最終産卵確認となりました。産卵期間中の約5か月間、合計約50海岸で調査が実施されました。その後、卵のふ化を待って、モニタリング調査時の位置情報をもとに再び海岸に赴き、ふ化状況を確認するために卵の掘り出し調査を実施しました。ウミガメのふ化は産卵から約2か月かかりますが、ふ化した順に掘り出し調査を進め、11月下旬にすべての調査が完了しました。延べ調査回数は168回となり、それに費やした調査人員は延べ732人となりました。

陸路でアクセスできな海岸が多いため、産卵調査はボートを使用して各海岸を巡る

産卵後に帰海できなかったメスのアオウミガメを救助することも

調査結果

未公表データであるため、数値は概数で報告いたします。
2019年は、父島列島で約1,500巣(前年比84%)、母島列島で約600巣(前年比120%)、聟島列島で約40巣(前年比134%)のアオウミガメ産卵巣が確認できました。父島列島では2016年から3年連続の減少となりましたが、小笠原のアオウミガメの増加傾向は継続していると推測しています。合計約1,000巣に対して、ふ化後のふ化率調査を実施したところ、父島列島では約32,500頭の子ガメが海に帰っていったと推測されました(母島列島および聟島列島では、ふ化率データが不十分なため算出不可)。理論的な脱出率(卵数に占める脱出子ガメの割合)は父島列島で約32%となります。今年は大型台風が襲来しました(風速50m/s以上の暴風は13年ぶり)。大型台風の襲来は、海岸生態系における攪乱の1つと考えており、健全な生態系の維持には必要不可欠なイベントとなっています。高潮の影響により産卵巣が水没したり、大量のゴミや流木がふ化前の産卵巣の上に堆積するような状況は一見するとアオウミガメにとって良くないように感じるかもしれませんが、それらが本当に個体群全体に害を及ぼしているのか、俯瞰的視点をもって考えることも重要となってきます。

アオウミガメの子ガメ

ふ化状況を確認することは、保全の戦略を立案する際の重要な指標の1つとなる

ゴミの脅威は脱出時から始まる(砂中でゴミに絡まった脱出子ガメ)

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