ウミガメはマイクロプラスチックを摂取しているのか?

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ELNAは、2019年度より地球環境基金の助成金を受けて「ウミガメと海洋ゴミ」の関係性について調べています。

マイクロプラスチックとは

私たちは2003年から、ウミガメ漂着個体の調査を行っています。ゴミの誤食状況(ウミガメがゴミを誤って食べてしまう)も調べており、ゴミの誤食率は66%ということがわかっております(2004-2017年関東付近。腐敗が進んだり、骨だけになってしまったり等、何を食べたか確認できない個体はのぞく)。

しかし、上記のゴミの誤食率は肉眼で確認できるゴミです。マイクロプラスチックと呼ばれるプラスチックの小さなかけらに関しては、分析が難しいのがELNAの原状でした。そこで、今回、マイクロプラスチックをどれぐらいウミガメが誤食しているのかを専門の方たちに依頼し分析しました。

※マイクロプラスチックとは、5mm以下のもの。
以下の2種類に分類される。
①マイクロサイズに製造されたもの ex.歯磨き粉や洗顔料に使われるスクラブやマイクロビーズなど(1次マイクロプラスチック
②プラスチック製品が紫外線やや波の影響で細分化したもの(2次マイクロプラスチック

分析の結果

そうして、10頭分のウミガメの糞(フン)を調べたところ・・・10頭/10頭の体内からマイクロプラスチックが検出されました!!(分析対象はアオウミガメとアカウミガメが5頭ずつでした。)

この10頭のうち、肉眼で確認できるサイズのゴミを食べている個体は4頭/10頭でした。

母数が10頭だけと少なくはありますが、マイクロプラスチックは世界中の海で浮遊しており、ウミガメ達も誤って食べてしてしまうのかもしれません・・・

※こちら解析中の風景です。顕微鏡を使い、細かいゴミを分析していきます。

誤食したゴミの内訳

1.ゴミの形状の内訳

マイクロプラスチックの破片(2次マイクロプラスチック)が一番多く71%、ついで「フィルム」が19%となりました。マイクロビーズやスクラブ(1次マイクロプラスチック)はほとんど確認されませんでした。

誤食に関しては、プラスチック製品が劣化・破損したことによる粒子がほとんど、という結果になりました。

2.ゴミの材質の内訳

「ナイロン」「ポリプロピレン」「ポリエチレン」の順番に割合が高かったです。ナイロンは洋服やバッグ、財布や漁具など幅広く使われています。ポリプロピレンやポリエチレンは食品容器や日用雑貨などこちらも幅広く使われています。

形状と材質についてご紹介しましたが、残念ながら、摂取したゴミがウミガメの健康にどのように影響するのかまでは、まだ判明しておりません(これがわかるといいのですが・・・)。

今後も解析個数が増えて行けば、より確証の高いデータになります。引き続き、調査を続けていきたいと思います。

普段の生活でできること

私は、今回の「ウミガメと海洋ゴミ」の調査が、日常生活を見直すきっかけになりました。もちろんプラスチック製品を買うこともありますし、食品はプラスチックに包まれているので、日常的にゴミは増えてしまいます。しかし、なるべく今持っているものを大切にしたり、プラスチック以外の材質のものを購入するようになりました。

小さなことではありますが、ウミガメのことをきっかけに、皆様にもプラスチックゴミについて考えていただければ幸いです。(岩井)

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