Sabira島での支援、知見の共有活動 – 自然ふ化の試み

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他地域のウミガメ保全にも貢献するため、ELNAが持っているウミガメ保全や調査手法の知見を、 インドネシアの 他団体/組織にも共有する活動をしています。
支援地域の一つがSabira島です。
インドネシア首都ジャカルタの北にあるスリブ諸島最北端の島です。この島でウミガメ保護活動をしている団体を支援してきました。

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今までの活動
① ELNA活動地セガマ・ブサール島へ招待し、研修をおこなう →活動のブログ
② Sabira島視察、保全手法について打合せ。標識放流調査道具の貸出
※ 全ての活動をELNAパートナー団体YPLI(インドネシアウミガメ研究財団)と一緒に実施しました
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今回は②を実施したので、活動内容を紹介します。
ELNAからは現地訪問はかなわなかったため、パートナー団体のYPLIに実行してもらいました。

まずSabira島の環境/状況について確認する必要があります。
ウミガメ保護施設を訪問しました。

産卵海岸はこちら。島の北側だけが産卵可能なエリアになっています。
ふかふかと体積した砂は少なく、ELNA活動地で言えばセガマ・ブサール島やキマール島の東海岸の環境似た感じです。
産卵するとしたらタイマイという海岸環境でしょうか。

Sabira島では今まですべての巣をふ化場に移植してふ化させていました。上の動画内の最後に出てくる部屋がふ化場です。バケツでふ化させる方式です。
卵の移植はリスクを伴うため(例:雌雄の決定、脳機能への影響、磁場感知機能への影響)、今回Sabira島の担当者と話し合い、一部だけ自然ふ化での方法を試みることとなりました。

Sabira島で自然ふ化させる時の課題は、ミズオオトカゲによる卵の捕食です。トカゲに掘り返されないような対策が必要です。
実はオオトカゲ食害から守る対策は、ELNAでもセガマ・ブサール島やキマール島で検討したことがあります。大きい石や乾燥した砂、海水を使用して被害を軽減することは経験があるのですが、完璧に守る方法はまだ開拓できていません。また、島によって使える自然素材が異なるため、そういった配慮も必要です。

YPLIスタッフに購入可能な素材と島にある素材で、Sabira島の方とも話し合って、今回はこのような柵を試しました。


Sabira島はウミガメの産卵が多くはありません。今回YPLIスタッフが島に滞在した間にあった産卵は1つのみ。また、もし失敗したら今後の自然ふ化へ挑戦する彼らの意欲がそがれてしまう可能性もあります。そのため慎重に巣選びと柵の作成を検討してもらいました。
今回自然ふ化を試すことができたのは、この1巣のみでした。結果については後日訪問し、確認します。

また、Sabira島ではウミガメのふ化やふ化した個体の飼育をしていますが、産卵個体の調査は未だ実施されていません。
手法は前回の研修でも学んでいただきましたが、Sabira島の現地でもスタッフに学んでいただくため、夜間パトロールも実施しました。しかし、残念ながら滞在期間中にウミガメのお母さんに会うことはかないませんでした。
彼らだけでも調査をしていただけるよう、調査道具を貸出し、今回は訪問完了となりました。

※この活動は、地球環境日本基金の助成をいただき実施しました

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