タイマイ保全活動~2015年の活動状況

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はじめに。。。

ELNAがインドネシアで実施しているタイマイ保全活動地は、5か所です(2016年現在)。
いずれも『少しでも多くの稚ガメ(赤ちゃんガメ)を海に帰す!』を一番のテーマにし、活動しています。
インドネシアはアジア最大のタイマイ繁殖地にもかかわらず、ELNAの活動地以外では将来の資源となるような数の稚ガメが生まれてきていません。1980年代と比較して8割もいなくなってしまったタイマイという“種を絶滅させないため”の活動です。

タイマイ保全活動地での問題

活動地での問題は島ごとに色々あるのですが、2015年に特に力をいれた課題は『ミズオオトカゲによる食害からウミガメ卵を守る方法を探る!』です。
ミズオオトカゲは、東南アジア地域に普通に生息しています(絶滅危惧種ではありません)。タイマイ保全活動地は島ですが、ミズオオトカゲは泳ぐことができ、島外からやってきます。実際、過去にトカゲの生息が見られなかった5つの活動地の内、2つの島で数が増えてきています。ウミガメ卵は普通いろいろな生き物に食べられるものなので、多少食べられる分には問題ないですが、ミズオオトカゲは食欲が旺盛で、保護している卵をほとんど食べ尽してしまうのでトカゲからの保護が急務となっています。ELNAでは卵の移植は基本姿勢としておこないません(ウミガメ生態に影響を与えないため)。そのため、自然の状態にあるウミガメ産卵巣をトカゲから守る手法を模索しています。

頭を突っ込んでウミガメ卵を食べるミズオオトカゲ

頭を突っ込んでウミガメ卵を食べるミズオオトカゲ

トカゲ食害から守る!

2015年はこの『ウミガメ卵をトカゲから守る!』という課題に本格的に取り組みました。イオン環境財団から助成金をいただいたことにより、思い切って投資をすることができました。2015年に具体的に試した内容はコチラです。
・市販のトカゲ忌避剤
・カユプティオイル
・鉄格子や石による産卵巣の保護
・砂での消臭実験
・瓶を使って脅す
・トカゲの捕獲調査
2015年は、これら施策の効果の有無や、効果があっても全ての環境に使えるわけではないということが分かりました。
2016年は①効果のある施策を引き続き試して、細かいデータを取って確認すること、そして②さまざまな環境でも卵を保護できるように別の施策も探す事をしていきます!

2015年の活動成果

トカゲ食害から卵を守る活動は、一番被害が大きいキマル島でおこないました。
トカゲ被害が一番ひどかった2014年は16匹の稚ガメしか生産することができませんでしたが、2015年にはなんと23,063匹のタイマイをふ化させ海に帰すことができました(キマル島活動開始以降で最多の生産数!)。
これは前項で挙げた卵を守る施策の他に、卵の監視員を雇用でき、監視員が海岸を頻繁にパトロールしたことによりトカゲの出現率が減り、結果トカゲ食害が減ったという影響もあったようです。
キマル島以外の活動地でも、もちろん動きはあります。限りある資金と時間の中で、最大限に成果を出せるよう取り組んでまいりました。他の活動地については、長くなるのでまたの機会に報告します。
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大きな成果を出せた理由

実は今まで何年も、トカゲ対策については調べて、実験もし、検討もしてきました。でも今まで大した成果をあげられませんでした。2015年にこれだけ大きな成果を出せた理由、それは『まとまった資金を投資したから』だと思っています。その根拠は、資金投資をおこなうことにより以下の事ができたからです。
① 1年間見つからなかった現地監視員を確保することができた(今までが安すぎと言われました)。
② 賃金が上がったためか(?)比較的優秀な現地監視員を雇うことができた
③ ELNAが現地に頻繁に通うことができた。そのため現地監視員も頑張って働いてくれた
④ 住環境の整備ができた(優秀な現地スタッフに継続して働いてもらうため)
2015年は『成果を出すためにはお金が必要なんだなぁ~』と、いろいろな場面でつくづく感じた一年でした。

お願い

基本的にかかる保護資金の他に、成果を出すための投資を2016年もやっていきます。せっかくの活動を意義あるものにするためです。また一方でインドネシアの物価、賃金は年々上昇しており(ガソリンは安くなった)、その分の資金の確保も今後の課題です。
それは、私の仕事ではあるのですが、今、賛助会員等でご支援いただいている皆様には、成果や活動が目に見えにくいとは思いますが、是非これからも継続したご支援を心よりお願い申し上げます。「少額で」と恐縮する方もいらっしゃいますが、会費や寄付は本当に重要であり、継続してくれることが何よりの安心感となり活動の支えです。今、キマル島で次に作りたいのは「トイレ」です。贅沢品かもしれませんが、今は小屋から10分くらいかけて海岸に行き、人目を気にしながらトイレに行っています(緊急時は本当に大変)。サシバエという1週間くらい痒い虫に刺されるのもわりとツライです。常駐している女性も作れば絶対喜んで活動に励んでくれます。2万円あれば作れるそうです(どんなトイレなのか・・・)。日本では少額でもちょっとした金額でわりと大きいことが現地ではできます。会員になっていない方には、是非新規会員となって頂きたいです。ひと手間ではありますが、その“ひと手間”のおかげで私たちの活動が出来ていることをご理解いただき、ご支援のほどよろしくお願い致します!

●ELNA賛助個人会員…ELNA全体の活動支援になります。
年間5,000円(月にしたら417円です!)申込み・詳細はコチラ

●ウミガメ保護島オーナー・・・直接タイマイ保全活動の支援に!
毎月1,000円(年間12,000円)申込み・詳細はコチラ

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  1. 2017年 2月 24日
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