近頃、思うこと(No.27)

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この頃、少し疲れているのが自分で感じる。昨年3月から5月の連休明けまで、僕は小笠原にいた。5月末にはインドネシアに行き、戻ってきたのは6月中旬過ぎであった。さらに月末にまた小笠原、8月上旬に戻って1週間でインドネシア、帰国した時は9月になっていた。その後、小笠原、インドネシア、日本ウミガメ会議、国際フェスタがあり、再びインドネシア、2週間開けてまたインドネシア、戻ってきたのはクリスマスの2日前であった。年が明け、中旬にとんぼ返りで小笠原、戻った翌日にはメキシコの国際ウミガメシンポジウムに参加するために飛行機に乗っていた。メキシコから戻って、中5日でインドネシア、3月6日に戻りまだ2週間も経っていない。この2週間も報告書の作成や会議であっという間に過ぎていった。久しぶりの「ウミガメの独り言」であるけど、僕の心の中に自分を見つめる余裕が無くなっている。書いていてもなかなか文章が進まない。「・・・・本当に疲れているなぁ」と、いう素直な気持ち。

肉体的な疲れではなく、精神的に疲れている。最近いろいろなことがELNAの周りで起き始めている。ずっと現場ばかりを歩き回り、自分の目に見える様々な情報を吸収し、ひたすらウミガメを見つめてきたわけだけど、それが少しずつ周りの人たちが評価し始めてくれる。マスコミの人たちも、ELNAの中身を見ようとしてくれている。まあ、ELNAを「環境保護団体」と、やっている意義を何も考えずに平気で書くマスコミの人たちもまだいるけど、それは仕方のないことかもしれない。インドネシアでタイマイやオサガメをやっている意義、この二つは全く別物なのだけど、それを理解してくれる。小笠原でリビングタグをやっていることに漠然とした興味ではなく、その意味合いを追求しようとしてくれる。

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マスコミばかりではなく、ELNAや小笠原海洋センターの成長を手助けしてくれる具体的な話が、企業や他のNPOから入ってくるようになった。また世界のアオウミガメの論文を、アメリカや中南米、オーストラリアなどの人たちと共著で発表できるようになった。僕らの仕事が少しずつ認められていることを実感する。しかし、これはますます精神的負担が増えるだけじゃないかと、僕は気持ち的に圧迫を感じるのである。ウミガメの仕事はノルマ的なものではないが、結果が出ない限り仕事としてみてもらえない。実際にはウミガメの仕事で結果が出ることはほとんどない。逆に結果が出ても、当たり前のように思われる。このような状況の中で、焦っているわけではなく、何かをしなくてはというせっぱ詰まった気持ちもなく、今までのことをただ淡々とこなして行くだけのことだけど、何かどっと疲れる。

結局は、少し弱気になっているのだろう。昔のような「怒り」が少なくなったせいかもしれない。それは、僕らが前進した証とみればよいのだろうけど、ウミガメをやっていく原動力が、故障のないエンジンみたいになっている。きっと、僕が目指していたものはこういうことなのかもしれないけど、この辺が僕自身の限界なのかもしれない。遮二無二前進していた昔が懐かしくなるほど、年を取って弱気になったせいかもしれない。

また、小笠原に行く。小笠原は僕の原点であるので、きっと「元気」と「怒り」を取り戻せるかもしれない。次回は、気持ちよくこの「独り言」を小笠原発信で書ければと思う。(「近頃、思うこの仕事」了)

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