約55,000匹の赤ちゃんタイマイが海に帰りました!

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保全活動地として課題を多く抱えているプスムット島より、とても嬉しいお知らせが届きました!

2021年に産卵された巣を孵化後に掘り出して調査をして見たところ、なんと約55,000匹の赤ちゃんタイマイが海へ帰っていったことが分かりました!

これは、過去最高の数です!
ついで多かったのは2013年の約30,000匹ですが、約1.8倍の多さです!ちなみに産卵数は両年ともほぼ同じくらいでした(2013年が727巣で、2021年が702巣)
近年は多くても22,000匹程度で、低い時は10,000匹を切っていました。
こんなに保全状況が良かったのは、活動当初~2007年までの間だけです。やっとこれだけ多くの赤ちゃん(正確にはふ化殻)を確認できるようになって、本当にうれしい限りです!

↑ 沢山のふ化殻(赤ちゃんが巣立った跡)

改善された理由としては、3つの事が考えられます。
①監視員がたまたま良かった(この島は数カ月おきに変わる灯台守を雇用しているため、人が変わります)
②YPLIに保全成果を上げる意識を促すことを強化してたから
③卵の盗掘や漁師のいたずらから守るため、夜間の監視員を雇用したから (雇用は12月~)

引き続きデータを見ながら、理由を探り、今後の成果向上に役立てていきます。
遠洋漁師の往来が多いこの島では、昼間だけでなく夜間の盗掘が問題視されていました。今後③の夜間パトロールの効果が期待されます。

↑ プスムット島の海岸。色んな人が活動した跡が見られます

夜間の監視員を雇用した理由は、漁師のいたずらから守るためだけではありません。
産卵に来たお母さんガメの標識を確認してもらうためでもあります。
実は、この島は、タイマイ活動地の中で一番多く母ガメに標識を装着している島です。(多いと言っても大したことはありませんが)

未だ明らかになっていないジャワ海タイマイの生態を解明するため、データの蓄積が重要です。特に知りたいのは産卵回帰年(産卵シーズンが終わり、次に産卵に戻って来る間隔)とシーズン内での産卵回数です。これが分かると何頭の母ガメがこのプスムット島を産卵地として利用しているのかが分かり、保全のためにはとても重要です。

▼2013年に産卵に来たお母さんガメとの再会

先日(2022年6月)も、標識が付いたお母さんが発見されました
そのお母さんは、2013/1/14に目撃されていた個体だったので、9年5ヶ月半ぶりの再会でした!

↑ お母さんガメの生態調査(いじめているわけではありません。頭を押さえて視界を暗くしてあげえるとウミガメは落ち着きます。その間に、計測や標識の装着をおこないます。調査は産卵を終えた後に実施しています)。とても立派なタイマイお母さんです!

良い成果を出したプスムット島ですが、まだ油断はできません。同じ島に産卵に来るアオウミガメの方のふ化状況は以前として良くないですし、現地訪問した調査員からも、「盗掘や漁師による邪魔が改善されたが、まだ課題は残っている。厳しくパトロールを実施する必要がある。」と報告が来ています。

引き続き現地パートナーのYPLIと共に、この島での保全状況の改善や生態解明にも取り組んで参ります!

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